産休に入ったら一番やりたかったことが、「出産プロジェクト提議書」の作成。
世間の「妊娠」のイメージと実際のギャップに打ちのめされた9ヶ月間。
「仕事の忙しさと妊婦のマイナートラブル、どっちが大変だと思う?」って聞いたら
かなり高い割合で「そりゃ仕事でしょ」と返ってくると思うんです。
なぜなら若い頃、自分もそう思っていたから。。。(反省)
でも体験してみたら全然つらかった。妊娠してつわり中に退職する女性がいるのも理解できる。
出産前から意外とやらなきゃいけないタスクも多い。
これ、どうやったら世の男性にも伝わるんだろう・・と考えた結論が、「プロジェクト提議書」でした。
仕事の文脈で、妊婦の出産までの道のりを「プロジェクト」で例えてみることにしました。
妊婦のみなさん、もし旦那さんが仕事大好き人間で、
仕事の文脈で話をする方が理解・共感が得やすい方だったら、一度この提議書を読んでもらって
意見交換してみてはどうでしょうか。そんな使い方をしてもらえたら嬉しいなと思って作成しました。
以下が、そのプロジェクト提議書です。
1.本プロジェクトの目的
子を無事に出産すること。
2.本プロジェクトメンバー
妻(リーダー)
夫(サブリーダー)
その他、家族(任意参加)
3.プロジェクト期間
原則として40週間(10ヶ月)
4.制約事項
1)リーダーは子の健康状態を常に注意観察すること。
2)リーダーは各種体重測定、血液検査、細菌検査、尿検査を月に1回以上、フェーズごとに病院の指示通り行うこと。
3)リーダーのみ、プロジェクト中は以下の摂取を禁じる
・アルコール
・カフェイン
・タバコ
・過度な糖質
・生魚、生ハム
等の摂取が原則禁止。
4)リーダーには定期的なリフレッシュを推奨するが、激しい運動は認めない。
5)リーダーは数ヶ月間、急な吐き気、頭痛、めまいなどを感じることがあるが、共働きの場合、
便宜上は上記の諸症状は例えインフルエンザ患者やノロウィルスばりの嘔吐症状が出ていたとしても「病気ではない」ので
本業(会社での仕事)は相当ひどくない限り休めない。
その際サブリーダー(夫)が食糧などの確保をすることを推奨するが、
サブリーダーにそのモチベーションがなければ、リーダー自ら食糧調達と料理をせざるを得ないことを覚悟する。
※なお、サブリーダー(夫)にはプロジェクト期間中、何も制約はかからない。
<注意事項>
・サブリーダーはリーダーが体調不良の際に「俺のめしは?」などと口にするとトラブルに発展する原因となるため注意すること。
・サブリーダーは冷蔵庫に何が必要か考えること。その際、自分の分だけじゃなくリーダーの分も考え、「冷蔵庫に何があるかでリーダーの生死がかかっている」くらいの当事者意識を持つこと。
・リーダーは第三者機関(医師、助産師)から得た情報をメンバーへ共有する必要がある。伝えたつもりで伝わっておらず「察してちゃん」になりすぎて、夫婦間のトラブルが発生しがちなのでそれはそれで注意すること。
4.業務の兼任について
1)リーダーは本業(会社での業務)と出産プロジェクトを兼任する形になる。よって本業に差し支えないよう配慮しつつ、出産プロジェクトに従事する。
2)リーダーはサブリーダー(夫)の能力次第では、「家事タスクフォース」のリーダーも強制的に兼任することになる。
「会社での本業」「出産プロジェクト」「家事タスクフォース」の3つでリーダー的な役割をになってしまうと
物理的に抱えきれなくなり涙がとまらなくなるリーダーも多い。
リーダーは体調不良がはじまり身動きがとれなく前に、サブリーダーに早い段階で業務の棚卸しを依頼することを推奨する。
5.予算
1)出産プロジェクトには、国からの助成金で42万円〜、特別予算が出産一時金として支払われる。また、検診費用も区のチケットで格安になる。
しかし日常生活には国による特別予算はつかない。家族の人数は増えるのに、育休に入ることで収入は減るため、趣味などに使える経費、食費の管理はこれまでより厳しくする必要がある。
共働き別財布で自由にお金を使っていたリーダー・サブリーダー共にここで「出費の見直し」というストレスが発生することを覚悟する。
6.出産プロジェクト達成までに必要なアイテム
1)マタニティウェア
2)つわり時期、料理不能な場合にリーダーが摂取するためのレトルト類
3)母子手帳や書類を整理するポーチ類
4)骨盤ベルトやレッグサポーターなど
5)脱ぎ履きしやすい靴
6)入院準備バッグ
7)妊娠線を予防するコスメや母乳を保護するクリーム類
8)入院前に病院から指示される入退院に必要なグッズ類
※各自体質にあうものを早めに準備すること。リーダーが用意しなければ他の誰も用意はしてくれない。
リーダーは、自分が体調不良で身動きが取れない場合、サブリーダーに的確に指示を出すことが推奨される。
7.出産プロジェクト達成までに必要な各種手続き
1)母子健康手帳の受け取り
2)会社への産休・育休申請
3)産院の予約、里帰りかどうかなどの調整
4)名前決めに対する親族の反応チェック(字画を気にするかどうかなど)
5)里帰りする場合、リーダーの両親との日程調整やサポート体制の確認
6)出産後の出生届や補助金申請
7)最寄りの保育園情報の収集
8)義実家の両親に新生児を合わせるタイミングの調整
※全てをリーダーが行う必要はないが、実態はリーダーが一人ですべてこなすことが多いのが現状。
8.禁止事項
1)出産プロジェクトは途中で投げ出すことは倫理的に絶対許されない。
2)サブリーダーは出産プロジェクトに対して「当事者意識」を放棄しないこと。リーダーは通常の人間より「死にやすい」状況になっていると見て接すること。
具体的には「リーダーいつ入院するんだっけ?俺なんかする必要ある?」と臨月間際にゲームをしながらリーダーに語りかけるなどの行為をしないこと。それってすでに間接的な育児放棄してるようなものだからね。
9.プロジェクト完了後の振り返りについて
プロジェクトの振り返り期間などの猶予などなく、次の育児プロジェクトに否応なく突入する。
そのため、プロジェクト中に議事録(日記やフォトアルバムの作成)を随時リーダー主導で行っておくことを推奨する。
10.最後に
プロジェクト事態は10ヶ月で完了するが、
出産の数日後には親族を含めた「キックオフmtg」がある。
その後人生丸ごとかかった「育児プロジェクト」が発足する。
出産プロジェクトは、その特性上、母体である妻側がリーダー役を担うことは止むを得ないが
育児プロジェクトに関しても女性側が必ずしもリーダーを担う必要はない。
(しかし実態は女性側が様々なタスクと兼任してリーダーを担うことが多い)
指示役のリーダー、指示をうけて的確にリーダーをサポートするサブリーダー
旦那と妻、どちらが何のタスクでリーダーを担うかは、うやむやにせず一度話し合いの場を
もうけてから、次のプロジェクトを走らせることを推奨する。
「出産プロジェクト提議書」 完
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リーダーのタスク多くない?
いわゆる会社でのタスクだったら普通に「さすがに、メンバーと分担しましょうよ・・」ってなるところですよね。
ただそれだけ、伝わればな〜と思い
「妊婦って大変」という「大変」の内訳を、仕事っぽく書き出してみました。
<後日談>
ちなみにこの出産プロジェクト提議書、私は旦那さんにも読んでもらいました。
旦那さんの反応は「面白い」でした。そして以下のコメント。
「女性に1つわかってもらいたいと思っていたんだけど、
男性もつらそうな妻を助けたい気持ちはあるんだよ。でも、女性と違って男性は体に症状も出ないし、医師とも直接話さない。
あと女性が自分で選びたいものとかも多いでしょ?名前もそうだし、産院とか、子供グッズとかさ。
適切に指示をしてもったら動けるのになって思っている世の男性も多いってことも、わかってほしい。」
ですって。
なるほど〜・・確かに、男性側に妊娠・出産にまつわる正しい情報が降りてくる機会が少ないのも事実ですよね。
これをきっかけに建設的な話し合いをするご夫婦が増えたらいいなと思います。